筋膜リリースの施術では、筋肉を包んでいる筋膜を緩めることにより、筋肉の緊張を解き、体を動きやすくしていきます。
筋膜とは、筋肉自体を包んでいるもの、筋肉や骨、臓器などを繋いでいるもの、さらに全身を覆っているもの、また深層の筋膜など、様々な層で構成されています。筋膜リリースでは、主に自覚症状のある凝り固まった部分や、その周辺の筋膜を柔らかくし、癒着を解消していきます。そして場合によっては、アナトミー・トレイン(筋膜の繋がり)に沿った解放を行うこともあります。
一方、ロルフィング®は、少し発想が異なります。単に筋膜を緩めるだけでなく、様々なテクニックを使用し、身体全体の構造的なバランスを整え、重力に対してより効率的に身体を使えるようにしていくボディワークです。日常生活や仕事で感じている不調や違和感、極端なコリやハリは、特定の筋肉だけの問題ではなく、全身を繋いでいる筋膜のネットワーク、構造的なバランスの悪さ、長年の生活習慣によって形成された身体の癖(ボディイメージ)など、様々な要因が影響しています。
体の連携を高め、体の統合性を高め、重力と調和した自由な身体を目指しているのなら、ロルフィング®をお勧めします。ロルフィング®の目的は、単に筋膜をほぐすことではなく、身体全体の統合性を高め、より楽で自由な身体、本来の機能を発揮できる身体をつくっていくことです。
また別の側面から見てみると、ロルフィング®を受けることは、単なるリリース(解放)ではなく、ディスチャージ(放出)が起きているような感覚を覚えるかもしれません。リリースだけでは、表層的な開放に留まり、元の状態(パターン)に戻りがちですが、ディスチャージが起こると、その癖を司っていたパターンそのものが変化していくような感覚があります。このディスチャージを引き起こすのは容易なことではないため、10回を1シリーズとする体系的な施術、動きのムーブメント、そして知覚トレーニングというロルフィング®のセッションスタイルが確立されてきたのだと思います。それほど、長年培ってきた身体の癖を手放すというのは難しいことです。10シリーズは、まさにこの深いレベルでの変化を目指していくものです。
そして、そのパターンは、深層レベルまで複雑に存在しており、一部は心理的なトラウマにも関連している場合があります。ロルフィング®を続けていくことで、自分にとって不必要なパターンが少しずつ変化していくことが期待できます。