天声人語に、こんなことが書いてありました。
地球が球形なのは誰でも知っている。それを踏まえて、自分の目で見て一番遠いところにあるものは何か?
答えは自分の背中だという。地球一周4万キロのかなた。むろん冗談だが一端の真理はある。自分の「背中」ほど見えにくいものはない。背中とは、その人の無意識がただよっているような不思議な場所だ。
クライアントと接していて、最も訴えられる症状というのは背中の不調だと感じます。そしてその症状や状態の表現はとても曖昧なことが多いです。確かによく考えてみれば背中は不思議な場所です。
何故かと考えてみれば、意識が関与しやすい五感の感覚器を始め、人間の感覚器の殆どが、前側を向いて付いている為でしょう。
その為、背中というのは意識化されてないことが多く、認識の外にある遠い場所なのかもしれません。
ロルフィングのセッションは感覚を開いていくことも含まれます。背中の感覚を失っている方がセッションにより感覚を取り戻した場合、そのセンセーションは大きく、知覚レベルで衝撃的であることも多いです。同じ背中が、関係性で、体にとって全く別のものにもなり得ます。
背中を感じた新しい感覚は、前後、左右、更には全身の感覚、統合感覚へと広がり、立つことや空間認識、そして前側の感覚、五感で感じることさえ、一新して塗り替えていってしまうこともあるのです。
知らないことや、一番遠いと思ってた存在が実は凄く身近な存在であると気付く。そんなこと人生の中にもたまに起きたりしますよね。出会いとか、関係とか。話が飛躍しそうなので、まとめに入りますが(笑)自分の背中とも出会える。背中が自分と距離が近くなる。ロルフィングはそんな感じ不思議な施術なのです。