3年前に開催したロルファープロジェクト「ロルフィングコローレ」のWSテーマとして、「持続可能の身体」というのを掲げたことがあります。
私たちは持続可能を念頭に生きていくことが切実な命題であるそんな時代になっています。我々もまた統合した身体を持って持続可能に向けて生きていくことが大事だと思います。
さて、その発想の元にはバックミンスター・フラーの発想があります。フラーはその生涯を通して、人類の生存を持続可能なものとするための方法を探りつづました。
「宇宙船地球号」、エフェメラリゼーション、シナジェティクス、デザインサイエンスなどの言葉を広めました。また デザイン・建築の分野でジオデシック・ドーム(右参照)やダイマクション地図、住宅のプロトタイプであるダイマクション・ハウスなど数多くのものを発明しました。
ロルフィングで馴染み深い概念だと、テンセグリティ(tensegrity)という言葉がありますが、これは、バックミンスター・フラーにより提唱された概念で、Tension(張力)とIntegrity(統合)の造語です。ロルフィングの文脈で少し解説すると、体というのは、全身に点在する骨を、全身の柔組織(筋膜)が引っ張ることで、人体の姿、統合体のモデルとして使います。
ロルフィングをしているといかに人間の体が環境に依存しているかがわかります。1つは重力を通じて大地と、そして体性感覚を通じて周りの空間と。このグラウンディングとオリエンテーションが織りなす身体性のアートの一つがロルフィングです。人間の体が重力下で自然に動くようにしていきます。
1966年、アメリカの経済学者ケネス・E・ボールディングは『来たるべき宇宙船地球号の経済学(The Economics of the Coming Spaceship Earth)』というエッセイのタイトルにこの言葉を使いました。ボールディングはかつての「開かれた経済」は無限の資源を想定していました。しかし、「未来の『閉じた経済』は、同様に『宇宙飛行士経済』と呼ばれるべきだろうと言いました。ここでは地球は一個の宇宙船となり、無限の蓄えはどこにもなく、採掘するための場所も汚染するための場所もない。それゆえ、この経済の中では、人間は循環する生態系やシステムの中にいることを理解するのだ。」と。
気象異常が続いています。持続可能が世界的なテーマになり、我々一人一人も宇宙船地球号の乗り組み員であることを自覚する時代になっています。さて宇宙船地球号は、人間の体は、どうなっていくのでしょうか。
最後に下記は1978年と2012年34年間の比較。そして希望に満ちたフラーの名言集をどうぞ。