少し古い本で恐縮ですが、僕がオーストラリアに住んた後、日本に戻って来てから、日本語の感覚がまだ戻らない中、リハビリ的に日本語を読みはじめた時に出会った本をご紹介します。
何も持たずに生まれ、何も持たずに死ぬ。灼熱の大地,オーストラリアのアボリジニ〈真実の人〉とともに旅した女性の120日間の記録です。
内容はこんな感じです。一人の白人女性が、ふとしたことから、アボリジニ部族とともに砂漠を歩く旅に出た。言葉を介さず通い合う心、手を触れるだけで癒される体―灼熱の大地で体験する目をみはるような出来事の数々。その中で、ひとつずつ気づかされていく本来の地球と人類の姿。本来ミュータントとは、突然変異体という意味ですが、彼らが言うミュータントとは、昔の記憶や宇宙の真理を忘れたり、心を閉ざしている人のことを言っています。5万年地球と調和してきた彼らの生活は、僕のオーストラリアでの実体験も含め、驚愕する内容でした。
彼らの感覚は、他の文化圏で育った人々の限界をはるかに超えていて、聴力、視力、嗅覚は超人レベル。砂の上に残された足跡が発する霊気が彼らには伝わる。毎日みんなが無言なのはこの人々はテレパシーで通じ合い、何の音もしないのに三キロも離れた人同士がメッセージを交換する。(インターネットいらないですね。)
この部族がテレパシーを活用できるのは嘘をついたことがないからだといいます。彼らは自分たちの心を開くことを恐れず、互いに進んで情報を交換しようとします。彼らが物欲をまるで持たずに、欲しがることをしなければ豊かな人生を生きられるかということを教てくれます。自分の人生を豊かにするのは自分であり、そうしようと思えばいくらでも創造的で幸せな人生が送れるのだと言います。
さて、私ごと、
オーストラリアにいる時に、顔見知りになったアボリジニは、僕の顔を見かけると、近づいてきてこう言いました。「タバコはないか?」。
ある時は、「あるよ」といい、彼にタバコを差し出し、二人でタバコを吸いました。空は青く、どこまでも雲が広がっていた。タバコを吸い終わると、「じゃあ」といい、その場を立ち去った。
ない時は「ないよ」といい、しばらく青い空を眺め、「じゃあ」といい立ち去った。また別の日も、同じ場所で彼に会い、タバコを吸い、空を眺めてた。また別の日も。
約束もなく会って、ただ青い空を見るだけで、なんか素敵な時間だったなあって、当時のこと少し思い出したので書いておきます。