成功体験が続く人々が世の中にはいます。幸せなんて追いかけずただ夢を見て前に進む人たち。
彼は生まれてこのかた失敗したことがないのです。失敗しないように生きている場合もありますね、日本人だと多いかもしれません。やがてそれは神話に変わります。神話が現実を支え、現実は新しい物語となります。神話の中には、神様がいて、勇ましい姿で彼を支えます。神と一体になった彼は、勇ましき姿のヒーローとなり、彼は命さえ捧げます。誰にも負けたくないという原初の魂です。
成功体験の続く幸せな彼は、言ってみれば起きている時間のデイドリーム、白昼夢を見ているように、この世を謳歌します。誰にも負けません。ヒーローが役割だと信じて止みません。愛するものを守る為に。夢見ることは素晴らしいことですが、百戦錬磨、常勝の彼でも、いつかは破れる時が来ます。破れないといって頑張りすぎてしまうと、気がつかないうちに、他人の犠牲の上に、勝つための手段を選ばない中で、勝ち続けている。そんなこともありますね。けして本人は気がつきませんし、巻き込まれた周りの人も何も言えません。
さて、勝つことを覚えヒーローたちは、死ぬまで勝ち続けるのでしょうか。どこかで引退するのでしょうか。いつまでもヒーローでいたい、そんな魂も、頑張って来た人ほど持っていて、死ぬ気で頑張ったりします。身体の声を無視しても。周りの声を無視しても。小さい声など耳に入らずに進んでいきます。
人生はその時々で色々あるものです。どこかで自分に気づいて修正する、それも勇気です。ちょっと痛い思いして気づく。それでもいいでしょう。気がつかずに最後まで行ってしまう、それもまた人生。夢もいろいろ、見果てぬ夢、それも味わい深いものです。でもやっぱり、人生のどこかのタイミングで、自分を幸せになる方へシフトするのがいいだろうな。そんな風に感じ始めたのは、僕も少し歳を取ったからでしょうか。
デイドリームビリーバー。
矢野顕子さんのバージョンで。