ロルフィングは、身体をリリースするもの、ゆるめるものだと思っているかもしれませんが、実は、時には、身体から、人生や、現実の”ねじまき”のような作用をすることがあります。留まっていたものが動き出す。今時の言葉でいうと、ワーク&ライフバランスがとりなおされます。
ゆるめるのに、ねじまくってどういうこと?と思いますよね。それはゆるむことにより、それまで止まっていたものが流れ出し、流動化し、動き出すのです。しかも頑張ったり急いだりせずに、自然の中で、時間をかけてその流れが進んでいきます。
それはゆるむことに始まり、のびる・ライズアップすることで確かなものとなり、繋がっていくことで自信になり、現実を動かしていきます。意識できることもあるし、無意識の中に動いていて、ある時、ああ、そういえば変わっていた!と、気付く場合もあります。
「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問はしないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(ねじまき鳥クロニクルの本文より)
素敵な小説を読むと頭の中が変わっていくように、素晴らしいセッションを受けると身体の中が変わっていくのです。見た目でなくて、中が変わっていくのです。身体がゆるまって身体の声が聞こえだすのです。それは時に、ポキポキとか、グルグルとか、キシキシとか。音がする人もいます。匂いがする人もいます。光ってみえる人もいます。なんだか最初はよくわからないものです。
水平がズレていたり、こんな風にロボットのようにガチガチになっていると、急にねじまきすると、こんな感じで倒れそうで不安になりますが、人間の身体でいれば大丈夫です。そういうホメオスタシスという力を人間の身体は持っているのです。そんなねじまきのようなシリーズも増えてきました。