「目の前の世界が、広く、明るくなった。」
これもセッション後で多い感想の一つです。
これは新しくライトをつけたり、部屋にそういう装置があるわけでもなく、狭くしていた自分の視野や、本来届いているはずの明るさを取り戻したのに意識が気がついて、それを明るさや広がりに感じている感じだと思います。
「もっと光を!」という言葉は、ゲーテが臨終の場で語ったとされています。臨終の言葉としては、ちょっと洒落てる言葉ですね。
実際は、晩年まで精力的に創作活動を続けていたゲーテでしたが、やがて話し言葉が弱々しく明瞭でなくなってきていました。召使いに『もっと光が入るように、寝室のよろい戸を開けてくれ』 と伝え、右手を上げ文字を書き始めたところで意識朦朧となり旅立った」という話が残されています。本当はどうなのでしょう。もし、その時のゲーテに出会えるとしたら、その目の明るさや広がりを感じさせてあげれたかな、想像の世界では、そんな風に想ったりします。
さて、
ゲーテは沢山の作品を残していますが、その一つに「色彩論」というのがあります。ゲーテの色彩の環は、赤を頂点としながら黄と青を両端とする三角形に、緑を下の頂点としながら橙と紫を両端とする逆向きの三角形が重ね合わされたもので表されています。対立する色が呼び求め合う働き、分極性が見出され、色彩は静止したものではなく、それ自身の内部に力を有して運動するものであり、動きもその色単独のものではなく、他の色と結びついた動きであるという考え方は、色を有機的・生命的に捉えたものといえるのでしょうね。
ニュートンが「闇は光のない状態」としたのに対し、ゲーテは「光と同じように闇も存在し、固有の性質を持っている」と主張しました。ゲーテは、光と闇は互いに求め合い、お互いの性質を補完すると考えました。セッション後の目の前の世界を広く、明るくするのは、新しい光を当てたわけでもなく、闇にしていた部分へと、視覚が広がったみたいなイメージで考えて貰えるといいかもしれません。ゲーテがいう方の世界への扉が開かれる感じだと思います。
さて本を1冊紹介します。
「みどりのダンス」。色々なことに気付ける本です。
ほら、見えないかたちが見えてくる! 色彩画家ダニエル・モローが3つの色からつむぎ出す世界。